方針・理念・目的等

 県内に4施設ある救命救急センターのうち東近江医療圏唯一の救命センターとして地域の救急医療と重症患者の集中医療を担っています。初期対応は救急診療科専従医師が行い、心疾患や脳疾患など極めて緊急性の高い救急疾患はもとより、あらゆる疾患、外傷に各診療科のバックアップ体制を取って対応しています。地域で発生した重症救急患者さんの治療にあたるとともに、夜間休日の時間帯の救急患者さんにも可能な限り対応できるような体制をとっています。また高度かつ緊急治療を要する重症患者さんの診療には、集中治療担当医師や各専門診療科医師だけでなく、多職種の職員が合議して、集学的に最新の高度な治療を行っています。

概要・特色

救命救急センターは、

(1) 救急外来
(2) 救命救急センター 通常病床 12床
(3) 救命救急センター ICU(集中治療室)仕様病床 6床

の3ユニットで構成されています。

救急外来は、専任の救急担当医師が常駐する体制をとっており、初療とトリアージ(重症度の振り分けと応急処置)ののち、必要な場合は迅速に専門診療科へ引き継ぎ、専門的な治療を受けられる様にしています。当救命救急センターが地域内で果たすべき役割である、緊急度・重症度の高い中等・重症患者の診療に支障をきたすことのないよう配慮しています。その一方で、満足とはいえない東近江医療圏内あるいは周辺地域の一次・二次救急医療体制も支えています。

救命救急センター通常病床は、緊急かつ重症ではあるがICU仕様病床収容までの高度な治療は必要としない中等症から重症患者の収容を行なっています。主として救急外来からの緊急入院患者を受け入れ、救急患者の初療後のスムーズな入院加療を可能にしています。人工呼吸管理や血液浄化、細かな循環動態管理などを要する患者や、緊急手術が必要などの緊急性が優先される患者の治療・看護を行っています。平均病床利用率が80%以上で常に満床に近く、日々の積極的な病床の調整が欠かせないため、毎日、他の入院病棟との病床調整が必要です。

救命救急センターICU仕様病床は、最重症患者を対象として、集中治療担当医と各診療科担当医が協力して、高度かつ集学的な治療・管理を行う、オープンICUの体制をとっています。24時間体制で治療・管理を行うため、集中治療認定看護師、薬剤師、管理栄養士などと連携をとりながら、病態の変化にあわせた綿密な連携をとっています。

一方で、様々な治療により、もとの疾患は軽快したのにもかかわらず、患者の四肢の筋力低下、嚥下や呼吸に関連した筋力低下がおきてしまうことが注目されています。これらの患者の予後はよくなく、それを防止する意味で超早期からのリハビリテーションの重要性が指摘されています。当センターでは理学療法士を配置し、呼吸器装着患者などにも早期より積極的なリハビリテーションの開始を実践しています。

救急診療科は、院内業務だけでなく、東近江医療圏の救急医療体制の整備や救急救命士の指導、院内の救急医療体制の整備、各種講習会や勉強会の開催等による救急医療・蘇生の普及活動など、院内だけでなく地域にも密着した活動も行っています。また、当院は地域の災害拠点病院、滋賀県DMAT編成病院であり、有事の際にはすぐに災害出動できるように日々の準備と訓練を怠っていません。

災害派遣医療チームDMAT

過去の実績等

 2022年(令和4年)の救命救急センターの実績は、救急外来患者数14,551名、救急車搬送数5,847件(管轄外114件を含む)、救命救急センターからの入院患者数3,418名、心停止患者数134名でした。東近江医療圏内で発生する全救急患者の50-55%を受け入れています。他院に救急搬送依頼をしたものの受け入れてもらえず当院に搬入となった方は848名でした。特に圏内の重症度や緊急度の高い患者さん、他院で受け入れることができなかった患者さんを積極的に受け入れており、医療圏唯一の3次救命救急センターとしての役割を担っています。1年間の救急応需率は98.3%でした。新型コロナ感染症の影響から満床となることが多く、救急応需率は僅かに低下していますが、満床や緊急処置が重なるなど極めて繁忙でどうしても受け入れできない場合以外は、“No refusal policy”をかかげて救急車の搬送依頼を原則断らない救急医療を目指しています。

メッセージ

紹介

当院は「日本救急医学会 救急科専門医指定施設」「災害拠点病院・DMAT編成病院」です。

(1) 救急外来は、平日時間内は専従医師が常駐し、一次から三次症例まで幅広い受け入れを行い、研修医とともに初療の後、当該科に引き継ぎ、専門的な精査・加療を更に進めていくシステム(いわゆる北米型ER)です。各科へのコンサルト、引き継ぎはオンコール体制となっておりスムーズです。救急車からの搬入要請には、当番医師がPHSにて24時間直接対応を行っています。夜間などの時間外は外科系、内科系で対応する体制となっています。これに加え、小児科、産婦人科は独立したダイレ クトコール用PHSを持っています。

(2) 集中治療管理は、平日時間内は専従医師、夜間などの時間外は専従医師と固定メンバー医が、主治医と協議を行いつつ多職種と連携し管理を行っています。

(3) 当院は地域の中核病院で、研修医、レジデントを含め若い先生方が大勢おられ、主治医として精力的に働いておられます。ICU入室中の患者管理については救命救急センターのスタッフと主治医(チーム)との協議にて治療方針を決定していますが、センターのスタッフは専従医として敢えて主治医とはならない体制をとってきたため、主治医のサポート役として、主体性が薄くなりがちでした。若い先生方には手技的なことを含め、主体性を持って多くのことを経験してもらわねばならず、現在、救命救急センターの枠組みを崩すことなくもっと主体性を持った関わりが出来る体制への調整を始めています。

(4) センターの体制については、周辺組織との再調整を含め、まずまず目標どおりに業務調整がすすんできました。しかし、医師スタッフ数の不足等により、医師が行っているカンファレンスについては不十分なものとなっていました。このたび、スタッフ数の増員に伴い、その点につき改善に取り組んでいます。要望してくれる研修医達のためにも、何とか充実したものにしていきたいと考えています。

救急外来からのお願い

 救急外来は、主に「生命に関わる緊急対応」を必要とする重症および緊急患者さんのための外来です。したがって重症度・緊急度の高い患者さんの診察・診療が優先され、診察の順番が変わったり、長時間お待たせしたりすることがあります。また、近隣の医療機関を一旦受診していただき、必要に応じ受診された医療機関より紹介いただくことをお願いしております。救急外来での投薬は原則として1日分のみの処方としています。時間外の外来診療ではありませんので、かかりつけの病気や緊急を要しない検査、無くなってしまったお薬の処方などは行っていません。夜間休日も診療を行っていますが、専門性の高い診療科(眼科や耳鼻咽喉科等)では、オンコールの医師を呼び出すため、応急処置をしたあとで、少々お待ちいただく場合や他院へ紹介する場合もあります。ご理解とご協力のほどよろしくお願いします。

スタッフ紹介

役職 名前(ふりがな) 資格・略歴等

救命救急センター長
診療部長
救急診療科 主任部長

田畑 貴久
(たばた たかひさ)
・平成5年 滋賀医科大学卒
・日本救急医学会 救急科専門医・指導医
・日本外科学会 外科専門医・指導医
・社会医学系専門医協会 専門医・指導医
・日本集中治療医学会専門医
・日本アフェレシス学会 血漿交換療法専門医
・日本DMAT隊員、統括DMAT
・ICLSインストラクター
・JPTECインストラクター
・PEMECインストラクター
・専門分野:外科救急、外傷、敗血症
救命救急センター
副センター長
救急診療科 部長
池田 和弘
(いけだ かずひろ)
・平成11年 滋賀医科大学卒
・日本救急医学会救急科専門医
・日本内科学会総合内科専門医
・日本糖尿病学会糖尿病専門医
・ICLSコースディレクター
・JMECCインストラクター
・JATECプロバイダー
・医学博士
・専門分野:救急、内科
救急診療科 部長
総合内科主任部長
山口 琢
(やまぐち たく)
・平成17年 大阪医科大学卒
・日本内科学会総合内科専門医
・全日本病院協会認定総合医
・日本消化器病学会専門医
・日本消化器内視鏡学会専門医
・日本プライマリ・ケア連合学会所属
・専門分野:総合診療、消化器内科
救急診療科 医長 大坂 雅史
(おおさか まさふみ)
・平成25年 京都府立医科大学卒
・日本外科学会外科専門医
・日本救急医学会 会員
・JATECプロバイダー
・日本DMAT隊員
・専門分野:一般外科、外傷
ICU・CCU部長
循環器内科主任部長
中上 拓男
(なかがみ たくお)
・平成10年 高知医科大学卒
・日本内科学会総合内科専門医
・日本循環器学会専門医
・日本心血管カテーテル治療学会認定医
・専門分野:循環器救急
ICU・CCU顧問
総合内科参事
立川 弘孝
(たつかわ ひろたか)
・昭和58年 京都府立医科大学卒
・日本内科学会指導医
・日本循環器学会専門医
・日本プライマリ・ケア連合学会指導医
・ICLSコースディレクター
・JMECCインストラクター 
・PTLSプロバイダー
・日本DMAT隊員、統括DMAT
・専門分野:総合診療、循環器救急、内科

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