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コラム

大腸(結腸・直腸)がんについて



概要

大腸がんは近年日本でも増加している悪性腫瘍の一つで、治療は手術が原則とされています。当科では早期から傷が小さく整容性に優れた腹腔鏡下手術を適用し、2021年には全症例の92%に行いました。さらに2022年からはロボット支援下手術(ダビンチXi手術)を導入し、身体に優しい最先端の低侵襲手術(minimal invasion surgery)を提供できるよう日々研鑽を重ねています。
原則として最新の大腸がんガイドラインに記された標準治療に基づき、個々の患者様の病状に合わせた最適な術式や周術期(放射線)化学療法を決定しています。

大腸がんの低侵襲手術(minimal invasion surgery)について

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術は、傷が小さく整容性が高いことのみが長所ではありません。その優れた拡大視効果により繊細で安全な手術操作が可能になったことが最大の長所とされ、開腹手術に比べ根治性(がんを遺残なく切除すること)の点で劣らないこともわかっています。
特に開腹下では見えにくかった直腸癌の手術において威力を発揮し、永久人工肛門(ストーマ)を回避する肛門温存術式が増えています(後述のロボット支援下手術では、より期待できるとされています)。
しかしながら、これらの術式は術後の排便機能障害(頻回の排便)や肛門機能障害(便の漏れ)を来す可能性もあり、個々の患者様の背景、病状に合わせ慎重に適応を決定しています。

ロボット支援下手術

ロボット支援下手術は、高度に進化した腹腔鏡下手術といえます。専用の鉗子(手術器具)は手振れ防止機能を備え、多関節で人の手首以上の可動域を有し、直感的で繊細な操作が可能となりました。また高解像度の3Dモニターシステムにより、狭い骨盤腔内でも複雑な毛細血管や神経繊維の走行を拡大観察できます。これらの特長により、直腸がん手術では、直腸を取り巻く骨盤神経叢をより確実に温存し、がんの根治性だけでなく排尿・性機能などの機能温存が期待できます。また、より骨盤深部まで手術操作が可能となることで、肛門に近い下部直腸がんでも肛門を温存できる可能性が高くなることが知られています。
日本では、2019年に直腸がん手術に、2022年には結腸がん手術に保険適応され標準治療として急速に普及しています。
当医療センターは、2022年に東近江医療圏で初めてダビンチXiを導入しました。当科では、直ちに可能な限り全ての大腸がん症例に適用しており、保険適応となったばかりの結腸がんについて、安全かつ良好な手術成績を学会報告しています。

人工肛門(ストーマ)について

以上のように当科では可能な限り肛門を温存する術式を第一選択としていますが、ストーマを造設した場合は退院後も外来において専任の看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)が個別に対応し、ストーマ周囲皮膚の定期的な観察やトラブル時のケア方法について長期的なサポートを行なっています(ストーマ外来)。

高度進行大腸がんについて

周囲臓器に浸潤するような高度に進行した大腸がんでは、手術の前に抗がん剤投与(術前化学療法)や、さらには他院との協力により放射線治療を併用して行い(術前化学放射線療法)、がんを縮小させた後に手術を行うことによって安全性と根治性を高めています。
一方、根治術後であっても再発や転移の危険性が高いと考えられる場合には、予防的に抗がん剤を投与(一般的には6ヶ月間)することの有効性が証明されています(術後補助化学療法)。当院では外来化学療法室が整備されており、リラックスして抗癌剤治療を受けていただけるよう努めています。

転移を来たした大腸がんについて

大腸がんは肝臓や肺に転移することがありますが、他の固形がんと違い外科的に切除することで比較的良好な予後が期待できることが証明されています。完治することも珍しくありません。このような転移性大腸がんに対し当科では個々の患者様の病状に合わせ外科的切除と化学療法等を併用し、最善の治療法を選択、提供しています。
当科では転移性肝臓がんに対して可能な限り傷が小さく整容性に優れた腹腔鏡下肝切除術を安全に行っています。転移性肺がんに対しましては呼吸器外科と連携をはかり最終的な治療方針を決定しています。

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