ごあいさつ

 脳卒中は現在、死因の第4位、寝たきりの原因の第1位となる疾患で社会的にも大きな影響を及ぼす疾患です。脳卒中とは大きく分類して脳の血管が詰まることによる『脳梗塞』、脳の血管が破れることによる『脳出血』、脳動脈瘤などが破裂して生じる『くも膜下出血』に分類されます。これら脳卒中は発症時の状態が大きく影響しますが、いかに早く適切な初期治療を行えるかが、患者さんの予後に大きな影響を及ぼすことが知られています。 2019年に全国974か所の一次脳卒中センター (PSC)が認定されました。滋賀県には13病院が一次脳卒中センターとして認定されており、当院もその一つです。一次脳卒中センター (PSC)とは 「地域からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注療法を含む)を開始できる施設」 のことです。脳卒中に苦しむ患者さんやご家族を一人でも減らせるように、わたしたち医師、看護師、臨床放射線技師、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフ、薬剤師などのスタッフがチーム医療で治療に当たります。

脳卒中センター長
中島 正之

特色

専門スタッフによる脳卒中チーム医療

 脳卒中センターは主に外科的治療を行う脳神経外科と主に内科的治療を行う脳神経内科で構成されています。どちらの診療科にも脳卒中学会専門医が診療にあたっており、患者さんの症状などに合わせて診療科を決定し治療を行います。

脳卒中センター長
脳神経外科主任部長
中島 正之
(なかじま まさゆき)
・日本脳神経外科学会専門医・指導医
・日本脳卒中学会専門医・指導医
・日本脳卒中の外科学会技術指導医
・日本神経内視鏡学会技術認定医
・脳血栓回収療法実施医
脳神経内科主任部長 松尾 宏俊
(まつお こうしゅん)
・日本神経学会専門医・指導医
・日本脳卒中学会専門医
脳神経外科部長 齋藤 実
(さいとう まこと)
・日本脳神経外科学会専門医・指導医
・日本神経内視鏡学会技術認定医
脳神経外科医長 丸尾 知里
(まるお ちさと)
・日本脳神経外科学会専門医

24時間365日の救急医療体制

 当院は滋賀県内に4施設ある救命救急センターとして地域の救急医療と重症患者の集中医療を担っています。初期対応は救急診療科医師などが行いますが、脳卒中は極めて緊急性の高い疾患のためすぐに診療が開始できるようにバックアップ体制で対応しています。

患者さんに最適な治療を選択

 脳卒中は大きく「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」に分けられます。それぞれの疾患によって治療法が異なり、患者さんにとって最適な治療方法を選択します。

rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法

 脳梗塞は脳の血管に血の塊(血栓)が詰まり、脳に酸素や栄養が送られなくなる病気です。脳梗塞の治療では出来るだけ早く脳の血流を改善することが重要です。rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法は、詰まった血管の血栓を溶かし血液の流れを再開させることで脳梗塞を治療します。ただし発症4.5時間以内の急性期の脳梗塞が対象ですので、発症からの時間だけではなく患者さんの既往歴や状態などを総合して適応のある方に行っています。

脳血管内治療

 脳血管内治療とは、手首や足の付け根などの血管からカテーテルと呼ばれる細いチューブを脳の血管へと到達させて、細くなった血管を広げたり、出血を防ぐための治療を行います。頭を切らずに治療を行いますので、痛みも少なく患者さんへの負担が少ないのが特徴です。最近では脳梗塞に対してカテーテルを狭窄や閉塞した部位まで誘導して血管を拡げたり、血栓を直接吸引して除去する治療が行われるようになり、様々な器具の開発や技術の進歩により急速に進歩が認められ、広く行われるようになってきました。当院でも適応にある方に積極的に脳血栓回収療法を施行しており、劇的な回復が得られて後遺症なく短期間で退院される方も珍しくありません。またくも膜下出血や未破裂脳動脈瘤に対しては瘤の形状や部位に応じて適応に応じて開頭による直達手術と脳血管内治療による脳動脈瘤コイル塞栓術を積極的に行っています。頚動脈狭窄症に対しては適応に応じて頚動脈内膜剥離術と血管内治療による頚動脈ステント留置術を行っています。

開頭手術

 くも膜下出血はそのほとんどが脳動脈瘤の破裂により生じます。脳動脈瘤の部位や大きさ、形状に応じて脳動脈瘤コイリング術よりも開頭術(脳動脈瘤頚部クリッピング術)が適している場合があります。患者さんの状態や脳動脈瘤の状態に応じて適切に手術適応を判断し、クリッピング術を行っています。また破裂予防目的に未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術も行っています。脳出血では頭の中に溜まった血腫(出血した血液の塊)を取り除くことで脳内の圧力を軽減します。最近では大きく開頭を行うことは少なくなり、小さな開頭を行って内視鏡を用いた血腫除去を行い、少しでも患者さんの負担が少ない治療を優先しています。

脳卒中リハビリテーション

 脳卒中になると運動麻痺だけではなく、言語障害(失語症や構音障害)嚥下障害、高次脳機能障害などの様々な障害が出てきます。また長期間寝たきりの状態が続くと、筋肉が萎縮してしまい思うように動けなくなる廃用症候群となってしまいます。脳卒中リハビリテーションは少しでも機能を回復し、元の生活に戻れるように、あるいは介護する方の負担を軽減して患者さんが早く元の日常生活へ戻れるように早期よりリハビリテーションを行います。リハビリテーション治療計画に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が患者さんの状態にあったリハビリテーションを提供し、できるだけ速やかに患者さんの最大の能力を引き出すべく効率的に行われます。

脳卒中地域連携クリティカルパス

 脳卒中の治療は急性期治療と回復期治療があり、それぞれの医療機能を持つ病院が連携し、地域の中で完結する体制となっています。急性期治療が落ち着くと、リハビリテーションを集中的に行うための回復期リハビリテーション病院に転院が必要となります。地域連携による切れ目ない医療や介護の提供で、在宅への早期に復帰できるよう支援します。その地域連携を進める方法として、脳卒中地域連携パスの普及を進めています。

施設認定

  • 日本脳卒中学会一次脳卒中センター(PSC)
  • 日本脳神経外科学会専門医訓練施設
  • 日本脳卒中学会専門医研修教育施設
  • 日本神経学会認定医制度教育関連施設