リハビリテーションrehabilitationとは、re「再び」とhabilitation「能力の獲得」という2つの意味から成りますが、今日では単に機能回復という意味だけに限定されず、また障害のみに視点を置いた従来のマイナス的な考えから、患者をとりまく環境や社会参加状況など日常生活から人生のレベルで包括的にプラス面を拡大していく考え方に移行しています。
またリハビリテーションは、患者さまやそのご家族を中心に医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護福祉士と幅広い職種が集まり、チームとなって取り組みます。近江八幡市立総合医療センターでも各職種がチームとなり、患者さまの生活向上に向けたリハビリテーションを提供しております。
当リハビリテーション技術科では、近年の動向である在院日数の短縮化や18年度診療報酬改定に伴い、急性期における効果的なリハビリテーション技術の提供を目指しております。18年度診療報酬改定では、リハビリテーションは疾患の特性を加味された(1)脳血管疾患等リハビリテーション(T)、(2)運動器リハビリテーション(T)、(3)呼吸器リハビリテーション(T)等、また摂食機能療法とに分類されます。当科においてもその方針に従い、各疾患に応じた専門的なリハビリテーションを提供しております。
脳血管疾患リハビリテーションでは、脳卒中やパーキンソン病などが対象となります。発症後早期よりベッド上にて運動を開始し、早期離床を促します。また離床後は認知運動療法や装具療法を導入して、より高い日常生活動作(ADL)能力を獲得し、早期に家庭復帰や社会復帰を目指します。また退院の際には、退院時カンファレンスや退院前訪問指導を実施し、退院後の家庭での生活がスムーズに行われるよう働きかけます。
運動器リハビリテーションでは、骨折や変形性関節症、脊椎疾患などが対象となります。いずれも術後翌日より歩行訓練を開始し、早期に日常生活動作の拡大を図ります。また最新の機器を駆使した筋力トレーニングでは、スポーツ復帰にも対応しております。その他にも、関節運動の改善を目的としたCPMといわれる機器は、各関節に対応できるよう設備が充実しております。
呼吸器リハビリテーションでは、術後の合併症予防を目標とした外科手術前の呼吸器訓練や、慢性呼吸器疾患などが対象となります。呼吸療法認定士が深呼吸や腹式呼吸といった呼吸方法や、痰の出し方などの指導や介助を行います。また機器を利用する吸気トレーニングでは、機器の充実を図り、その方に合った呼吸訓練を指導します。
摂食機能療法では、「食べる」や「飲み込む」といった嚥下機能に障害のある方が対象になります。摂食機能に関係する筋力や姿勢、また食べやすい食事の形態を評価し、実際の食事場面で訓練を実施して、摂食の喜びを提供します。
このように各疾患における特性に注目した専門的な治療技術を提供することで、身体機能のより早い回復を目指し、高齢化社会といわれる今、一人でも「寝たきり」にならないよう、また人間らしい生活が営まれるようにと、私どもは願っております。
理学療法とは、何らかの疾病や傷害などによって生じた<心身機能・構造(生命レベル)><活動(生活)レベル)><参加(人生レベル)>の制限に対する、検査・測定に基づいた治療科学の提供であります。<心身機能・構造>とは、たとえば手足の動きなどのことです。
<活動>とは日常生活における具体的な一連の行為であって、たとえば歩いたり、トイレに行ったり、服を着たり脱いだりすることや家事行為などのことです。
<参加>とは人生のさまざまな状況に関与し、その役割を果たすことであって、主婦としての役割や仕事場での役割などをいいます。各々の治療には治療体操(運動療法)や、温熱・水・電気などの物理的手段を用います。さらに在宅における日常生活活動の指導や、福祉用具の選定や住宅改修・環境調整、また近年では生活習慣病の予防・コントロール、障害予防も理学療法の対象になっています。
当リハビリテーション技術科では理学療法士が9名勤務しております。近江八幡市立総合医療センターとなり施設が拡大され、最新の機器が導入されました。そこではより精密な筋力トレーニングや物理療法の提供、また屋外リハビリテーション施設にて、屋外での活動について訓練ができるようになりました。また、糖尿病や慢性呼吸器疾患に対する患者指導など、より専門的な治療サービスの提供に取り組んでまいります。
「やまい」や「しょうがい」により、自分の思いにかなった暮らしを送ることが困難となった方々が、再び、住みなれた地域で、顔なじみの人々と出会いながら生きいきと暮らすことを援助する、それがリハビリテーションのひとつ、作業療法です。
作業療法は、(1)座る、歩くといった動作、 (2)箸やペンを使うなどの手の使い方、(3)服を着る、入浴するなどの生活動作、 (4)職場復帰、調理などの主婦(夫)業復帰、(5)「やまい」や「しょうがい」についての理解、 (6)介護の方法、(7)家屋のバリアフリー化、このようなことについて訓練・援助・相談を行います。そして、その方法に「作業」を用いることが、他のリハビリテーション訓練とは異なった最大の長所です。
「作業」とは、手仕事、手芸だけを指すのではありません。身づくろい、仕事、趣味など、ひとが日々の生活で経験することすべてが「作業」と呼ばれて、訓練・援助・相談の手段となります。ですから、作業療法は、ひとの暮らしに具体的な解決策と実際的な訓練を提供できます。そして、医療をはじめ保健・福祉・教育・職業領域と幅広い分野で展開され、あらゆる方面から援助を行います。
「やまい」や「しょうがい」のある市民の皆さんが、それぞれの暮らしに安心して戻っていけるように、当院の作業療法士は、日々、患者様とともに考え、同じ目標を持ち、満足のいくリハビリテーションを提供できるように取り組んでいきます。
言語聴覚士は言語や聴覚に障害を持った方々に対して、障害された機能またそれによって起こるコミュニケーション障害を評価し、それを改善、維持、代償するために様々な援助を行います。コミュニケーション障害は大人では病気、事故など様々な原因で発生し、その原因となる病気が治った後も後遺症として残ります。例えば脳出血で大脳皮質にある言語中枢が障害されると失語症となります。こういった方の多くは失語症のみならず手や足の麻痺も同時に起こることがあります。当然、社会に復帰することは非常に困難なものとなります。
一方、子どもの場合は出生時からハンデを背負っている場合が多く、それと共に成長していかなければなりません。育児、家庭生活、学校生活、職業問題と問題は山積みです。
また、人間が声を出したり、発声したりする器官(発声発語器官)はもともと食べることや呼吸の器官です。したがって言語聴覚士はコミュニケーションのみではなく、食べることの障害(摂食・嚥下障害)のリハビリテーションも行います。食べることは栄養摂取とともに生きる楽しみでもあります。
言語聴覚士が行う言語聴覚療法とは、コミュニケーションや食べることに障害を持つ方々の言語や聴覚や摂食機能の獲得、回復、維持を支援し、最終的に「生活の質(QOL)」を高めるために行われるリハビリテーションの一領域です。
当リハビリテーション科の言語聴覚士は、よりevidence(科学的な根拠)の高いリハビリを患者様に提供出来るよう、日々努力していきたいと考えています。
当センターはH18年10月の新築移転時に救命救急センターが開設され、超急性期の医療施設へと生まれ変わりました。救急施設の充実化により、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患および交通事故等による多発外傷などが多く搬送されるようになってきています。そのため急性期医療に対応したリハビリテーションが求められてきています。また近年の少子高齢化の影響により、リハビリテーションを受けられる患者さんの高齢化と大腿骨頚部骨折などの高齢者に特有な疾患も増加してきております。
急性期のリハビリテーションの役割の一つとして、脳血管疾患の患者さんの場合、発症後の集中治療室での臥床の状態から、廃用症候群の予防として関節が固くなる「拘縮」を防いだり、筋力の低下を防ぐことなどに努めます。危険な状態を脱すれば徐々に体を起こす練習を始めます。急性期では、回復期で自宅復帰をすすめるための基礎作りが非常に重要となります。麻痺の程度に左右されますが、リハビリテーション開始からの2週間程度で、ベッド上での起居動作(寝返り・起き上がり・移乗動作)や車椅子操作の自立、身のまわり動作の確立など、まずは院内生活の確立を図り、回復期のリハビリテーションへと引き継ぎます。
大腿骨頚部骨折などの高齢の患者さんは、短期間の臥床でも寝たきりになりかねません。ほとんどの患者さんには手術翌日からリハビリテーション室に車椅子にて来ていただいております。早期に起き上がったり、立ち上がったり、車椅子に乗り移ったりすることでベッドに寝かしきりにせず離床を進めます。また、整形外科手術の技術向上は翌日からの歩行訓練も可能としました。最初の1週間から10日間にて基本動作の確立を図り、回復期のリハビリテーションへと引き継ぎます。大腿骨頚部骨折の場合、3週間〜4週間での退院が可能となり、高齢者の方には早期に慣れ親しんだ環境(ご自宅)に帰っていただくことが可能となってきています。
また、当科では外科的手術後の肺合併症を防ぐ対策として、呼吸訓練を集団にて行う、『術前呼吸器教室』を開催しております。術前呼吸器教室では術後に肺の広がりを促すために機器を使用した吸気訓練や深呼吸・腹式呼吸の訓練を習得して頂くとともに、術後に出やすい痰を少しでも楽に出せるように練習して頂いております。術前呼吸器教室は毎週火・金曜日の14:00から開催しております。
*注:術前呼吸器教室へ参加ご希望の方は主医師にご相談ください
急性期病棟の実績(PT)
術前呼吸器教室について
術前呼吸器教室パンフレット
活動履歴
当センターの作業療法では発症直後の症状にあわせて心身の基本的な機能改善を援助するために作業活動を提供しています。作業療法の「作業」とは日常生活動作や仕事、遊びなどすべての目的動作のことを指します。作業療法では怪我や病気による身体機能改善にとどまらず、患者さんそれぞれの実生活に即したきめ細やかな援助を行っています。
例えば、脳梗塞などにより突然体が思うように動かなくなって戸惑う患者さんに対して、まず離床を促していきますが、作業療法ではただ単に起きる・座るのではなく、「起きたい・〜したい」と思う気持ちを自分から持てるように目的動作を促していきます。麻痺が認められた場合には平行して片手動作訓練を行います。早期より、食事、整容、着替えなど自分でできることを少しずつ増やして「自分でできる喜び」を患者さんと一緒に感じながら訓練を行っています。
また、当センターのリハビリテーション室にはお風呂や洗面台、畳の部屋などが備えられており、自宅を想定した実際の動作を練習することができます。家庭復帰の際に主婦が最も心配される料理についてもキッチンを利用して、包丁操作や火の取り扱いなど実際の調理動作を行うことで安心して主婦業に復帰できるように援助しています。
さらに、脳の病気では「高次脳機能障害」といわれ、集中できない、物が覚えられないといった注意・記憶障害、自分で考えたり動作が上手にできなくなるといった遂行機能障害、急に怒り出したりという性格の変化など様々な障害が起こることがあります。
それは目に見えない症状であるため家族や周囲の人から理解されにくく、日常生活のなかで様々な困難が生じる場合があります。高次脳機能障害に対してはスクリーニングテストを実施し、まず障害の有無を判断します。テストによって障害が疑われた場合にはそれぞれの症状に応じた注意、集中、記憶などの学習を促す訓練を実施しています。高次脳機能障害に対しても机上の訓練だけでなく実用動作を通じて、生活で必要な脳の学習能力に働きかけ、再構築を目指しています。ご家族など周囲の人達にも障害について説明し理解と協力が得られるようにはたらきかけます。
作業療法では今までの習慣や趣味活動などを聴取し、自分らしく豊かな生活を再構築できるよう『こころとからだ』のリハビリテーションを目標に日々取り組んでいます。
言語聴覚士は言語に障害を持った方々に対して、障害された機能またそれによって起こるコミュニケーション障害を評価し、それを改善、維持、代償するために様々な援助を行います。コミュニケーション障害は大人では病気、事故など様々な原因で発生し、その原因となる病気が治った後も後遺症として残ります。言語聴覚士が行う言語聴覚療法とは、コミュニケーションや食べることに障害を持つ方々の言語や摂食機能の獲得、回復、維持を支援し、最終的に「生活の質(QOL)」を高めるために行われるリハビリテーションの一領域です。
言語訓練について
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害者の復職支援について(現職復帰)
高次脳機能障害者の復職支援について(再就労)
誤嚥性肺炎について
当センターは、東近江圏域において急性期医療の役割を担っている一般総合病院です。地域完結型医療体制の構築を目指した地域医療連携に努めてきましたが、東近江圏域において回復期リハビリテーション病棟がなく、この役割を果たすために新病院移転開院を機会に50床にて開設致しました。東近江圏域において唯一の回復期リハビリテーション病棟であり、住み慣れた地域へその人らしい生き方に合わせた社会復帰を目指し、スタッフ一同(専従医師1名、看護師16名、専従理学療法士2名、専従作業療法士1名、兼務理学療法士6名、兼務作業療法士3名、兼務言語聴覚療法士1名、
ヘルパー日勤4名、兼務管理栄養士・薬剤士1名、地域医療課地域看護師3名・MSW2名)力を合わせて取り組んでおります。専従リハビリテーションスタッフ数は十分とはいえませんが、リハビリテーション施設基準は、脳血管疾患リハビリテーションT,運動器疾患リハビリテーションT,呼吸器疾患リハビリテーションTを取得しており、定期的なカンファレンス・リハビリテーション計画書の説明など実施し、本人・家人と共に目標を共有しながら、リハビリテーションを進めております。実績としては、入棟患者さんの85%が在宅へと退院されております。
また、特徴としては、@屋外歩行練習スペースの設置、デイコーナーへの雑誌・新聞の設置、病室事に車椅子対応可能なトイレ・洗面台の設置など環境整備の充実を図っていることAほとんどの患者さんが、当院急性期病棟から入棟されてきており、引き続き主治医の指示を受けながらのリハビリテーション継続が可能であり、他院と比較すると急性期⇒回復期の連携がスムースに実施可能であることB一般総合病院に併設されているため、いつでも他疾患に対する専門科の受診や急変時の対応が可能なことが挙げられます。
回復期リハビリテーション病棟の実績
回復期リハビリテーション病棟パンフレット
| 理学療法士 (PT) |
鈴木博人 | ・理学療法士 ・呼吸療法認定士 ・介護支援専門員 |
|---|---|---|
| 理学療法士 (PT) |
若林成享 | ・理学療法士 ・呼吸療法認定士 ・介護支援専門員 ・福祉用具プランナー ・認知運動療法士 ・DMAT(災害医療支援 チーム) |
| 理学療法士 (PT) |
門谷(渡邊)淳子 | ・理学療法士 ・呼吸療法認定士 ・介護支援専門員 ・福祉用具プランナー ・福祉住環境コーディネーター2級 |
| 理学療法士 (PT) |
・理学療法士 ・呼吸療法認定士 ・介護支援専門員 |
|
| 理学療法士 (PT) |
森本(山中)順子 | ・理学療法士 ・認知運動療法ベーシックコース終了 ・呼吸療法認定士 |
| 理学療法士 (PT) |
深谷直基 | ・理学療法士 ・福祉住環境コーディネーター2級 |
| 理学療法士 (PT) |
奥村高弘 | ・理学療法士 |
| 作業療法士 (OT) |
鈴山(栂井)博子 | ・作業療法士 |
| 作業療法士 (OT) |
澤村香織 | ・作業療法士 ・福祉住環境コーディネーター2級 |
| 作業療法士 (OT) |
樹下美紀 | ・作業療法士 |
| 言語療法士 (ST) |
森田曜 | ・言語聴覚士 |
| 回復期 リハビリテーション病棟 |
川井(酒井)幸 | ・理学療法士 ・呼吸療法認定士 ・介護支援専門員 |
| 回復期 リハビ リテーション病棟 |
丸山ひかり | ・理学療法士 ・認知運動療法アドバンスコース終了 |
| 回復期 リハビ リテーション病棟 |
中上史子 | ・作業療法士 |
| 診療助手 | 西川由紀枝 | ・ホームヘルパー2級 |
| 医療助手 | 田中千恵子 | ・ホームヘルパー2級 |
リハビリテーション技術科では、年に1度クリスマスコンサートを開催しており、年間行事の1つとして位置づけております。このコンサートを通じてできるだけ多くの入院患者さまに音楽に触れていただき、癒しを提供したいと考えております。
グランドピアノやハンドベルにて病院職員らが演奏を行い、また患者さまの歌声がエントランスホールに響き渡り、活気あふれる空間を創り出します!
このようにリハビリテーション技術科が中心となってコンサート等の企画や運営をすることも大きな意味でのリハビリテーションと考え、患者さまや市民の方に
提供していきたいと考えております。リハビリテーションアプローチにとどまらず、幅広い活躍を目指していく科です。
