昨年10月に新規開院して、あわただしく1年が経過しました。PFI手法を採用しての病院建設・運営ということで、社会的にも注目されています。PFI導入の是非については、市議会で焦点になっていますように、いまだ議論のあるところです。
新病院の建設は、PFIの導入がなければ叶わなかったという経緯はあるものの、その一方、現場では、まだまだ解決しなければならない課題が山積しています。そのために、市民の皆様方に、ご迷惑をおかけしている点も多々あります。診療予約ひとつを取り上げても、市民の皆様方から多くのご意見をいただいています。
しかし、自治体病院のあるべき姿を、病院だけではなく、市民の皆様方も一緒になって、考えていかなければならない時代であることもご理解いただく必要があります。国の構造改革政策のもと、医療界は激変の渦の真只中にあります。国は、平成24年度には、全国の一般病床(急性期病床)数を、現在の90万床から欧米なみの40万床に削減することとしています。急性期疾患を中心とした入院医療の役割を果たすことのできない病院は、地域の拠点病院として評価されません。
滋賀県は100分の1県と言われていますので、単純に計算すると、滋賀県の一般病床数は4000床ということになります。滋賀県には7つの医療圏があり、現在、それぞれの拠点病院といわれている、公立・公的(日赤や済生会)病院だけですでに4000床を越え、急性期を扱っている一部の私立病院を加えると、それで5000床になってしまいます。すなわち、滋賀県では、急性期病院としての役割を果たす病院の、集約化は終わっているのです。
今後の問題は、これらの急性期医療を担う病院がいかに「生き残る」かではなく、これらの病院をいかに「生き残らせる」かということです。このうち、ひとつの病院でも崩壊すれば、滋賀県の医療体制は、その根幹から揺らぐことになります。事実、度重なる医療政策の誘導によって現場は混乱し、集約化されているはずの病院でさえ、少しのことで瓦解しそうな気配です。
東近江医療圏で、急性期医療の役割を担えるのは、当院と一部の病院だけになります。どんな患者さんでも診るというのが、今までは、「よい病院」の代名詞でした。実際、医療アクセスの悪かった時代に、多くの自治体病院が建設され、地域の医療を守ってきました。
今は、時代が変わりました。医療のレベルも上がり、ひとりの入院患者さんにかかる手も増大しています。急性心筋梗塞も、安静だけで経過を見る時代ではなく、急性期に、カテーテル手術をする時代です。単なる胃潰瘍だけで入院する時代ではなく、内視鏡処置を必要とするような、吐血でもなければ入院できません。
このような時代に、救急を要する患者さんも、安定期にあって落ち着いている患者さんも、同等に診るというのには限界があります。まして、医師や看護師不足が表立っている時代では、なおさら困難を極めます。
今後は、病院の役割分担が明確にされます。そして、開業医さんと病院との連携や、病院どうしの連携がなければ、地域の医療体制は維持できません。東近江の地域医療を維持するために、当院に課せられた使命は重要です。当院は、近江八幡市だけではなく、東近江医療圏、さらに県全体にとっても、急性期病院として、「生き残らせる」必要のある病院のひとつです。
「生き残らせる」ための鍵のひとつが、病院の役割分担です。幸い、東近江医療圏にも開業医さんが増えてきました。また、東近江医療圏には、県内で唯一残った、休日急患診療所も機能しています。これらの医療アクセスを上手に活用し、病診連携というフィルターを通して、当院の医療サービスを、適切な患者さんに、適切な方法で、必要に応じて提供することが求められています。
当院の診療予約は、新病院になってからは、確かに取りにくくなりました。外来担当医の、当日の手術や検査の予定がつまっており、無制限に受けつけるという訳にはいかないからです。しかし、紹介状をお持ちの患者さんについては、地域の急性期病院としての役割を果たすべく、何とか対応させていただいております。当院の役割分担を、ご理解いただけますようにお願い申し上げます。
(当院は、平成16年度から、本格的に、このような地域連携を進めています。その結果、東近江管内からの紹介患者数は、平成15年度が1083名であったのに対して、平成18年度は5843名と、6倍近く増加しています。また、紹介患者さんの約4分の1は入院を必要とし、したがって、新規入院患者数も、平成16年度までは、なかなか6000名を越えませんでしたが、平成18年度は7196名と、1000名以上も増加しています。)
これからも、市民の皆様方のご理解とご協力を得ながら、共に成長する病院でありたいと願っています。
2007年10月1日
近江八幡市立総合医療センター 院長 槙 系
近江八幡市立総合医療センターは、平成18年10月1日名称変更・新築移転・開院の新たな船出以来、1年が経過いたしました。旧近江八幡市民病院の解体工事も始まります。昭和16年開設(昭和48年名称変更)以来長年にわたり近江八幡市民病院に賜りましたご支援に対しまして厚く御礼申し上げますと共に、近江八幡市立総合医療センター開院以来の激動の1年間における皆様方の叱咤・激励に感謝申し上げます。
基本理念『多くの人々との出会いを通じて、新しい医療環境の創造に努めます』
近江八幡市はもちろんのこと、東近江、さらには中部湖東地区という地域・コミュニ
ティーの地域医療を担うセンターとして信頼される病院作りを職員一同一丸となって追求してまいりました。地域内の病院・診療所が互いの機能を生かしあい、密に連携をとり、力を合わすことで、地域全体としてより良い医療体制を築きあげることが可能となり
ます。国認可・県指定の新型救命救急センター、県指定の地域周産期母子医療
センター・災害拠点病院(免震基礎、自家発電、受水槽、ヘリポート、備蓄倉庫整備)・
第2種感染症指定医療機関をはじめ、『急性期・重症の濃厚な入院治療や検査を必要
とする状態に対処すること』が、『急性期病院』として当院に課せられた中心的な役割
です。
患者の皆様におかれましても病院・診療所の機能分担につきご理解をいただくようよろしくお願い申し上げます。
新しい医療体制の大きな柱として、開院にあわせて全面的に電子化された総合医療情報管理システムを導入しました。あらゆる医療現場におけるペーパーレス化を目指したメガシステムです。従前の紙運用のカルテ等はなくなり診療における光景が一変しました。オーダリング、電子カルテをはじめ、検査システム・画像システム・生理システム・生体情報システム・医療安全システムなど部門システムも一気に導入し、情報の共有化、医療安全の確保、情報の保護と有効活用を実現しました。他の病院の事例を参考にすると、手足のように自在に使いこなすには半年から1年かかると予測しておりましたが、当院におきましても1年を経過した現在はシステム自体の機能的な限界には苦慮しつつも、成熟したユーザーとして診療に取り組んでいる毎日です。当初は医師がコン
ピューター画面ばかりを見ていて患者さんとのアイコンタクトが減ったというご指摘も
ございましたが、現在ではコンピューター画面上にレントゲン画像を始め各種検査結果を展開し医師・患者間で共に話し合うことが容易となったことなど多くのご評価を頂いております。システムはあくまで道具であり使いこなすのは人間です。今後も医療安全、情報保護のためシステムの確実な活用をおこなってまいります。
更に新しく踏み出した大きな一歩として、当院が国認可の新型救命救急センターを開設し1年が経過いたしました。滋賀県内には救命救急センターが3つ既にありましたが北部、南部に偏り、手薄な傾向のあった県中部の救命救急を当院で担うよう県より指定を受けました。従前の当院の救急への取り組みを大幅に発展、進化させ救命・集中治療管理を行っています。救急専門医の指導下に救急医療体制を確立し、循環器内科の
虚血性心疾患に対する早期治療体制の整備、脊髄損傷・多発外傷を含む交通事故・
労災を含む外傷に対する整形外科の迅速な対応、麻酔科指導医による緊急手術に対する万全な体制、即時対応可能な充実の消化器外科チーム、パワーアップした脳神経外科の布陣、小児科・小児外科の充実による小児救急への対応、などをはじめとして精鋭の医療スタッフを誇ります。地域連携にも積極的に取り組み、救急隊員に対するメディカルコントロールの支援や、救急医学会のICLS(蘇生トレーニング)ディレクターとして数名が県内医療機関のネットワークの中核となり活動しています。人員面・運営面で更なる充実を図り、今後滋賀県内でも有数の救急医療施設を目指してまいります。 この1年間の実績として、救急外来受診者数25,128名(1日平均68.8名)、うち16.5%にあたる4,146名(月346名)は救急車搬送、1.8%にあたる444名(心肺停止搬入72名を含む)が
重症でした。外来受診のうち6.6%の1,670名が救命救急センターに入院となり、救命救急・集中治療の対象となりました。外来診療のうち5%程度が一般病棟へ入院となって
います。全国的に救急医療現場の疲弊、医師の撤退による救急医療の崩壊が雪崩を
打って起こっています。当院においても当然のことながら人的資源には限りがあり、
こなせる医療に量的限界があります。急を要しない疾患、一般外来や診療所に受診
すべき疾患などでの救命救急センターの利用や、救急車の利用が後を絶ちません。
近江八幡市、東近江地域全体の救急に関わる医療資源が疲弊、崩壊することのないよう、患者の皆様には節度ある医療機関のご利用をお願いいたします。
無煙環境の創造は当院の大きなコンセプトです。喫煙は多くのガンや、心臓疾患、
呼吸器疾患との関連が最も明らかな非常に危険な要因です。当院では、禁煙外来を
開設し、敷地内完全禁煙を実施しております。建物内は当然のことながら、駐車場を
含めた全ての敷地内が完全禁煙です。入院中の患者の皆様には、入院誓約書にも
入院中の禁煙を明記していただいております。外来受診の患者の皆様や、付き添い、
お見舞いの方々におかれましても、クリーンな療養環境の確保のため敷地内禁煙を
お守り下さい。公共のルールとしての当院の規定に従っていただけず敷地内での喫煙
行動や吸殻のポイ捨てが見受けられ、受動喫煙の実害や環境の汚染といった状況を
招いています。禁煙サポートチームを中心に今後も地道にクリーンな病院を追求して
まいります。ご支援、ご理解のほどお願い申し上げます。
DPCという言葉が、新聞一般紙、雑誌などで見られるようになりました。当院はこの
新しい医療制度への対応準備を進めております。D(Diagnosis診断)P(Procedure
手術・処置)C(Combination 組み合わせ)は、入院医療における診断群分類別包括
評価という仕組みのことで、医療の質の標準化、可視化と、コスト削減、などが目的
です。国・厚労省によって、入院中の無駄な検査の排除や、長すぎる入院日数の適正化が方向付けられ、急性期病院は今後この方法によって入院費用を計算するようになっていきます。現在この方法で患者の皆様にお支払いいただいている『対象病院』は全国で360病院あり、準備中の『準備病院』は1073病院あります。今年度当院は準備病院と
なり、厚労省による調査に協力しています。今年の調査が終了した後、当院も対象病院と認可されればDPCによって入院医療費を計算し、患者の皆様にお支払いいただく仕組みに変わっていく予定です。今後早い段階で詳しい情報を患者の皆様にお知らせし、
混乱なくこの仕組みを運用していくことが出来るよう努めてまいります。ご理解のほど
よろしくお願い申し上げます。
「医療環境の創造」における、新しい試みとして、BOT方式(設計と建設・管理と運営・譲渡)PFIによる30年間の管理と運営が始まっています。民間の活力・能力・ノウハウ
(SPC:Special Purpose Company特別目的会社)を導入した方式により、安全・安心はもちろん、より効率的でスマートな運営を目的としたものです。SPCによる業務として、施設整備業務は終了し、今、施設維持管理業務(施設保守管理、総合医療情報システム保守管理、清掃、植栽管理、警備)、運営業務(医療事務、検体検査、物品管理、総合医療情報システム運営、給食、消毒・滅菌、リネンサプライ、利便施設運営)、その他の業務(旧病院解体など)が実施されています。今、PFIのあり方が内外から問われています。実施中の管理・運営のあり方につきご注目いただき更なる改善に役立つ忌憚のないご意見をお寄せ下さい。
「多くの人々との出会い」として、患者の皆様との出会い、他の医療機関の皆様との
出会い、SPCとの出会い、職員同士の新しい出会い直しがあります。
24時間365日眠らない病院業務の日々にあって、また常に変化し続ける医療環境の
中にあって、改革の歩みを止める暇はありません。今、第5次医療法改正(平成19年
4月)とも相まって、医療供給体制の大変革が進行中です。我々の医療そのものが、
『可視化、標準化』を要求されています。
患者の皆様等への医療に関する情報提供を
推進するため、都道府県レベルで『医療機能情報提供』の制度化が進められています。同時に、地域の医療計画の見直し等を通じて、患者の皆様の病態の変化に対応した、急性期から介護・在宅まで一連の『医療機能の分化』『医療連携の構築』が急がれて
います。患者の皆様方と地域の複数の医療機関が情報を共有しつつ、国が進める医療政策に理解を深め、より良い医療を追求していく必要があります。
更に新しい出会いとして、ボランティアや病院モニターの皆様方との出会いがあり
ます。より開かれた病院の鍵となるのが、ボランティアや病院モニターの皆様の活動と
とらえております。接触していただく患者の皆様の生の声を吸収して現場に届け、また
一方急性期病院としての当院のあり方に理解を深めていただき、両面からこの病院を
育ててくださるものと存じます。(この病院をより良い方向に導く積極的なご意見を賜り、患者の皆様と病院の組織をつなぐ架け橋、窓となって頂けるボランティアの方を随時
募集いたしております)
止まることのない病院改革の要は、職員同士がお互いを見つめ直すことにあり、これが当院をより良い方向に変えていく大きな力を生むと確信します。この1年間、開院から、
電子カルテへの全面移行、SPC近江八幡のスタッフとの折衝、救命救急センターオー
プン、機能評価受審、DPC調査参加と、怒涛のような日々を、職員一人一人の力を結集して乗り越えてきたことを誇りとすると同時に、現在進行形の大小の未解決課題、問題に対して、「自ら考え動く」方向へ意識改革を遂げ新しく生まれ変わった職員との出会い直しに期待します。
フレッシュな器と名前に生命を吹き込み続ける日々の中で、名実ともに進化した、また心のこもった医療を提供できるよう益々努力を重ねてまいります。
今後とも倍旧のご支援・ご指導を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
近江八幡市立総合医療センター 院長代行 須貝順子
| 1.病院の経緯 |
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2.施設基本情報
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| 3.診療機能 |
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| 4.決算書(平成18年度) |
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| 5.患者数 |
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| 6.患者紹介率(地域医療支援病院入院加算1計算方式採用版) | 準備中 |
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| 7.手術件数 |
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| 8.患者満足度調査 |
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| 9.DPC準備病院データ(平成19年度) |
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| 10.院内各種委員会 | 準備中 |
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| 11.学会発表・論文 | 準備中 |
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